【  2014年08月  】 更新履歴 

  08.31.  【 † 詩集 † 】  詩 『 波打ち際 』   さわりを読む▼
  08.31.  【 † 小説集 「純文学系」 †  】  小説『 聖母のいない放課後 』   さわりを読む▼
  08.31.  【 † 小説集 「幻想系」 † 】  小説 『 エスカレーター 』   さわりを読む▼
  08.30.  【 † 神秘主義 † 】  現代西欧スピリチュアリズムの源流についてーー1846年の「ラ・サレットの聖母出現」(1846)の謎   さわりを読む▼
  08.30.  【 † 展覧会 † 】  絵画における「モデルニテ」へ至るプロセス――「オルセー美術館展――印象派の誕生」の記録(新国立美術館)   さわりを読む▼
  08.29.  【 † エッセイ † 】  時間の映写機にスイッチを入れるために――椿山荘ホテルのロビーにて   さわりを読む▼
  08.29.  【 † ファッション † 】  クリノリン・スタイルの図像集ーーフランス第二帝政期(19世紀)の華麗なるレディースファッション   さわりを読む▼
  08.29.  【 † エッセイ † 】  夜の女王の眠りに捧げる四枚の写真と散文――ある恋愛の想い出   さわりを読む▼
  08.29.  【 † エッセイ † 】  なぜ赤煉瓦調の空間に惹かれるのか?――恵比寿ガーデンプレイスの魅力   さわりを読む▼
  08.28.  【 † ファッション † 】  Favorite Fashion/Alexander McQueen×John Gallianoのアンダーウェア×アクセサリー   さわりを読む▼
  08.27.  【 † ピエール・ブルデュー † 】  フランス革命前のアリストクラートの支配体制について――G.ルフェーヴル『1789―フランス革命序論』第一部   さわりを読む▼
  08.26.  【 † マルセル・プルースト † 】  プルーストはどんな作曲家を愛好していたのか?――斉木眞一「1913年のプルーストと音楽」(『思想』(2013年11月号――『失われた時を求めて』発刊百年)読解   さわりを読む▼
  08.26.  【 † 建築学 † 】  「日本の都市を読むための文法書」(建築学必読書リスト)として名高い陣内秀信氏の名著『東京の空間人類学』(サントリー学芸賞)の魅力   さわりを読む▼
  08.24.  【 † 映画 † 】  想田和弘『精神』について――「慈愛の詩」としてのドキュメンタリー   さわりを読む▼
  08.22.  【 † 文学 † 】  「牢獄」に外部は存在するか?――国際的な再評価が高まるチェーザレ・パヴェーゼの代表作『流刑』の世界   さわりを読む▼
  08.20.  【 † 貴族文化 † 】  〜美しくエレガントな貴女のために〜20世紀を代表する貴婦人ナディーヌ・ロスチャイルドが教える『ロスチャイルド家の上流マナーブック』   さわりを読む▼
  08.20.  【 † メディア論 † 】  これからのWEB社会を知るための基礎概念「オート・ポイエティックシステム」についてーー西垣通『基礎情報学』の地平   さわりを読む▼
  08.20.  【 † 神秘主義 † 】  Web空間にも「幽霊」は存在するのか?/霊と「場所」論ーー豊島与志雄の知られざる怪談文学「都市の幽気」を考察する   さわりを読む▼
  08.20.  【 † メディア論 † 】  存在論的に「情報がある」とはどういうことか?/「原-情報」についてーー西垣通『基礎情報学』   さわりを読む▼
  08.20.  【 † メディア論 † 】  情報はなぜ常に伝達不可能か?ーー今こそ、西垣通の代表作『基礎情報学』を紐解こう   さわりを読む▼
  08.18.  【 † 映画 † 】  トレバー・レズニックとは誰だったのか?――ブラッド・アンダーソンのサスペンス・スリラー映画『マシニスト』を解体する   さわりを読む▼
  08.18.  【 † 政治学 † 】  なぜイギリスで「近代世界システム」への移行を告げるヨーロッパ初の「産業革命」が起こったか?――川北稔氏『イギリス近代史講義』   さわりを読む▼
  08.17.  【 † 詩集 † 】  詩 『 親友 』   さわりを読む▼
  08.14.  【 † 映画 † 】  いつまでも朝の来ない沈痛なレクイエム――クシシュトフ・キェシロフスキの初期代表作『終わりなし』   さわりを読む▼
  08.13.  【 † 映画 † 】  「脱獄」をテーマにした二つの映画から見えてくる「自由」の概念――ジャック・ベッケル『穴』×マリウス・ホルスト『孤島の王』   さわりを読む▼
  08.02.  【 † 文学 † 】  アメリカ文学最高峰の文体美を誇り、ボルヘスの父が愛した文豪ヘンリー・ジェイムズの傑作《The Aspern Papers》の世界   さわりを読む▼
  08.02.  【 † 文学 † 】  大江健三郎のレイトワークのナラティブである「想像的私小説」を80年代に先取っていた前衛作家小島信夫の『寓話』はなぜラディカルか?   さわりを読む▼
  08.01.  【 † 美学 † 】  西洋絵画における画題の階級性について――V.H.マイナー『美術史の歴史』   さわりを読む▼

◆2014年07月     ◆2014年08月       ◆2014年09月

詩 『 波打ち際 』 

† 詩集 †


 盲目の少年「ねえ君、海が見えるかい?僕には永遠に繰り返す波の音と、海鳥たちの歌声しか聴こえないけれど」車椅子の少女「ええ、私は海を見ているわ。貴方の暗い眼の代わりに、私は貴方に世界の美しさについて語る義務があるもの。尤も、私はこんな足だから、そんな世界を一人では歩けないけれど」盲目の少年「いいかい、君と僕は二人で一つさ。僕の眼の代わりに君は世界を声で創造し、君の足の代わりに僕は世界を歩くことができ...全文を読む

小説『 聖母のいない放課後 』 

† 小説集 「純文学系」 † 


 dark church (柱時計は常に11:59である) 僕は今日、なにも変化しなかった。明日も、きっと同じく僕は無意味に《魂》という観念の泥濘に沈殿するでこぼこした古木の欠片と化すのだろう。出口ナシノDesaert islandダ。僕ハ孤独デハナイ。ソウ自己規定スルコトガ僕ヲ一体ドコヘ導クトイウノダロウ。コノ世界ニ孤独ナ人間ナドイナイ。誰モガ孤独過ギテ、自分ヲ孤独者ト認メルコトサエデキナクナッテイルノダ。君ハ孤独者カネ?「い...全文を読む

小説 『 エスカレーター 』 

† 小説集 「幻想系」 †


 by Maurits Cornelis Escher 僕と五つ年下の妹は、ある日エスカレーターの上で眼を覚ました。この機械状の階段の上で、何故僕ら兄妹が眼を覚ましたのかはわからない。僕と妹は、暗く狭い塔の内部と思しきエスカレーター状の螺旋階段の上で、瞼を開けたのである。僕と妹が困惑しながら佇んでいるこの階梯の一つ一つには、明滅してはいるがネオン付きの手摺が設置されていた。ネオンは上方を眺めても下方を俯瞰しても皆一様に淡い白...全文を読む

現代西欧スピリチュアリズムの源流についてーー1846年の「ラ・サレットの聖母出現」(1846)の謎 

† 神秘主義 †


 Sanctuaire de Notre Dame de La Salette○ 「ラ・サレットの聖母出現」の真相ハイズビル事件のわずか二年前にフランスで生起した「ラ・サレットの聖母出現」について調べてみよう。この出来事は1846年、9月19日深夜3時ごろに、南アルプスに位置するラ・サレットで、メラニー・カルヴァという少女(15歳)とマクシマン・ジローという少年(11歳)に起こった。二人は、目も眩むような衣装を身につけた「ラ・ベル・ダーム(美しい婦...全文を読む

絵画における「モデルニテ」へ至るプロセス――「オルセー美術館展――印象派の誕生」の記録(新国立美術館) 

† 展覧会 †


  今回の展覧会は、ボードレールが規定した「モデルニテ」の概念を、マネの絵画を中心にレアリスムの諸相から印象派の風景画までの流れを通してディスプレイした構成になっていた。画廊をゆっくり歩くことで、八章「近代生活」、そして最終章「円熟期のマネ」へと至るプロセスは、「絵画における〈近代〉」のコンテクストを学習する上でも非常に判り易かった。 このページでは、展覧会で気付いた点、新たに関心が湧いた点などを中...全文を読む

時間の映写機にスイッチを入れるために――椿山荘ホテルのロビーにて 

† エッセイ †


   今、東京で一緒に暮らしている彼女と最初に泊まったのは、2013年の冬の椿山荘ホテルだった。そこには、間近に迫ったクリスマスのための装飾が幾つか滞在客たちの眼を奪っていた。私たちはその日、プッチーニの《トスカ》を東京文化会館で観たばかりで、気分は浮かれていた。オペラの後に入るホテルには、何か高揚した気分を持続させるようなものが必要だ。歩いて五分ほどの距離に日本で最も美しいと名高い、20世紀の日本を代表...全文を読む

クリノリン・スタイルの図像集ーーフランス第二帝政期(19世紀)の華麗なるレディースファッション 

† ファッション †


 【クリノリン・スタイルの当時の図版】1856年 1857年1860年1860年1860年 1860年1868年クリノリン製造工場 1860年1857年と1807年の比較カリカチュア1 1850年代カリカチュア2【クリノリン・スタイルの当時の写真資料】着衣方法Carlotta and Maximilian in 1857 before taking over the short-lived Mexican empire1860 Princess Metschersky by André Alphonse Eugène Disdéri (Musée dOrsay)Carlota in full crinoline - from t...全文を読む

夜の女王の眠りに捧げる四枚の写真と散文――ある恋愛の想い出 

† エッセイ †


  ある女性との記憶というものは、常にある「空間」と結び付いている。彼女とどこへ行ったか、あるいはそこで何を話し合ったのか。おそらく、ロココ文化へのシンパシーという点で、彼女ほど私と深くうちとけ合った女性はこれまでに一人もいなかった。私と彼女はすぐに遠距離恋愛になり、会うようになった。 恋愛を重視する全ての男性がそうであるように、私もこれまで多くの女性たちと恋愛を楽しんできた。だが、彼女は私に稲妻の...全文を読む

なぜ赤煉瓦調の空間に惹かれるのか?――恵比寿ガーデンプレイスの魅力 

† エッセイ †


  恵比寿ガーデンプレイスについては特別な思い入れがある。私がここを最初に訪れたのは、前の彼女と付き合っていた頃、東京都写真美術館で開かれている個展のためだった。その時、私は奥まった場所にある美術館よりも、この広々とした赤煉瓦調の穏やかで美しい空間――あたかも、ひとつの都市に設けられたささやかな御伽の国のように――に鮮烈な印象を与えられたのだった。 赤煉瓦調の建築に対する私の最初の強い思い入れは、東京駅...全文を読む

Favorite Fashion/Alexander McQueen×John Gallianoのアンダーウェア×アクセサリー 

† ファッション †


 奥のスカル模様のものがAlexander McQueen、ボクサータイプの赤いアンダーウェアはJohn Gallianoで、二つとも贈り物で頂きました。LOUIS VUITTONのベルトに斜めに凭れかかっているのが、同じくVUITTONのブレスレットで、その前にあるブレスレットがDior Homme。その右がLOUIS VUITTONのペンダント(ベルトのデザインと相似)で、最後がDior Hommeの「C.D」ベルト。勝負用アクセサリー?...全文を読む

フランス革命前のアリストクラートの支配体制について――G.ルフェーヴル『1789―フランス革命序論』第一部 

† ピエール・ブルデュー †


 1789年―フランス革命序論 (岩波文庫)(1998/05/18)ジョルジュ ルフェーヴル商品詳細を見るG.ルフェーヴルの『1789―フランス革命序論』第一部「アリストクラートの革命」の記録を残す。フランス革命が何故起きたのかについて、本書でルフェーヴルは「アリストクラート」、「ブルジョワ」、「民衆」、「農民」という四つの視座を設定して分析している。このページでは、革命が起きる前のアンシャン・レジーム体制の“元凶”ともいえるア...全文を読む

プルーストはどんな作曲家を愛好していたのか?――斉木眞一「1913年のプルーストと音楽」(『思想』(2013年11月号――『失われた時を求めて』発刊百年)読解 

† マルセル・プルースト †


  プルーストはどんな作曲家を特に愛好していたのだろうか? その秘密に迫った魅力的な論稿を紹介しよう。『思想』(2013年11月号――『失われた時を求めて』発刊百年)収録の、「1913年のプルーストと音楽」の中で斉木眞一氏は、プルーストがフランクのソナタと、ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲(最後の五曲)に特別な思い入れを抱いていた事実を紹介している。 マーラーが死んだ二年後、シェーンベルクによる「調性の破壊」が...全文を読む

「日本の都市を読むための文法書」(建築学必読書リスト)として名高い陣内秀信氏の名著『東京の空間人類学』(サントリー学芸賞)の魅力 

† 建築学 †


 東京の空間人類学 (ちくま学芸文庫)(1992/11)陣内 秀信商品詳細を見る ここでは、「日本の都市を読むための文法書」として、建築学必読書リストに入っている陣内秀信氏の『東京の空間人類学』(サントリー学芸賞受賞)を紹介しよう。対象にするのは、一章「『山の手』の表層と深層」、三章「近代都市のレトリック」である。【江戸の都市空間のコスモロジー】 陣内氏が本書で何度も強調しているのが、西欧の都市空間と日本の伝統...全文を読む

想田和弘『精神』について――「慈愛の詩」としてのドキュメンタリー 

† 映画 †


 精神 [DVD](2010/07/24)ドキュメンタリー映画商品詳細を見る私にはずっと前から観たいと思っていた一本のドキュメンタリー映画があった。現在、世界中の映画評論家たちが注目する若手の想田和弘監督の『精神』である。それまでTV番組で放送するドキュメンタリーでは、基本的に精神病患者でなくとも当事者の顔をモザイクで覆うということがよく見られた。ある心の病気にかかって苦しんでいる人を一人ドキュメンタリー形式で追う作品...全文を読む

「牢獄」に外部は存在するか?――国際的な再評価が高まるチェーザレ・パヴェーゼの代表作『流刑』の世界 

† 文学 †


 流刑 (岩波文庫)(2012/02/17)パヴェーゼ商品詳細を見る チェーザレ・パヴェーゼ(Cesare Pavese, 1908年9月9日 - 1950年8月27日)は北イタリア出身で、トリノ大学でアメリカ文学を専攻した。卒論はホイットマンを選択したようだ。当時のイタリアはムッソリーニの独裁政治体制下であり、反ファシズム派の知識人たちが次々と逮捕されていった。パヴェーゼも1935年に逮捕され、五月十五日から翌月六日まで拘束されたという。本作は流...全文を読む

〜美しくエレガントな貴女のために〜20世紀を代表する貴婦人ナディーヌ・ロスチャイルドが教える『ロスチャイルド家の上流マナーブック』 

† 貴族文化 †


 ロスチャイルド家の上流マナーブック―ナディーヌ夫人が教える幸せの秘訣 (光文社文庫)(1998/02)ナディーヌ ロスチャイルド商品詳細を見る【礼儀作法のエレガンス】「どんな人が良いマナーを身につけているのでしょうか。まず第一は、人にたいして常に尊敬の念を持っている人のことです。つまり、他人の領分、私生活、センス、意見、振る舞い、友人の選択に敬意を払う人のことです。・けして無遠慮でない人。・けして迷惑でない人。...全文を読む

これからのWEB社会を知るための基礎概念「オート・ポイエティックシステム」についてーー西垣通『基礎情報学』の地平 

† メディア論 †


   「基礎情報学について」  前回、西垣通氏の『基礎情報学』の一段階目のプロトコルを残した。これから二段階目を書く。本書は私にとって非常に重要な本で、数多くの発見に溢れている。1、「情報とは何か?」「それによって生物がパターンを作り出すパターン」である。この「生物が」という点が非常に重要である。これは西垣氏の「情報」の定義である。そもそも、情報informationとは、生命体の内部inに形成formされるもの、...全文を読む

Web空間にも「幽霊」は存在するのか?/霊と「場所」論ーー豊島与志雄の知られざる怪談文学「都市の幽気」を考察する 

† 神秘主義 †


 豊島与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 - 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員。豊島与志雄は小説「都市の幽気」の中で、山には山の、村には村の、都市には都市それぞれの「幽気」が存在していると語っている。これは「場」に、それぞれの霊的な力が働いているという、明らかに心霊主義的な発想であ...全文を読む

存在論的に「情報がある」とはどういうことか?/「原-情報」についてーー西垣通『基礎情報学』 

† メディア論 †


 〈原―情報について〉ホフマイヤーは「生命情報」を「生命体が交換する記号」と定義した。この定義から、改めて進化史全体を再解釈しようとしたのである。より詳密に述べると、生命情報とは、生命体の内部にパターンとして出現し、記述として構成されるものである。これを西垣氏は、生命体の内部の最も始原的な情報という点で、「原―情報」と規定する。「原―情報」は、我々のシンボル体系である言語などを通して、すなわち「記述」...全文を読む

情報はなぜ常に伝達不可能か?ーー今こそ、西垣通の代表作『基礎情報学』を紐解こう 

† メディア論 †


 〈構造的カップリング〉二つ以上の単位体の行為において、ある単位体の行為が他の単位体の行為の関数であるような領域がある場合、単位体はその領域でカップリング(連結)しているといってよい。カップリングは、相互作用する単位体が同一性を失うことなく、相互作用の過程でこうむる相互の変容の結果として生じる。構造的カップリングは、システム的な生成概念の一つである。イメージとしては、二つの歯車が相互に連結して、相互に...全文を読む

トレバー・レズニックとは誰だったのか?――ブラッド・アンダーソンのサスペンス・スリラー映画『マシニスト』を解体する 

† 映画 †


 マシニスト [DVD](2005/09/22)クリスチャン・ベール、ジェニファー・ジェイソン・リー 他商品詳細を見る カンヌ国際映画祭やヴェネツィア国際映画祭などのヨーロッパの名立たる賞を何も受賞していないにも関わらず、ミニシアター系の映画には時に個人的に深い印象を与える作品というものが存在する。ブラッド・アンダーソンのサスペンス・スリラー映画『マシニスト』(原題: The Machinist)は、まさにそんな映画である。 メイキ...全文を読む

なぜイギリスで「近代世界システム」への移行を告げるヨーロッパ初の「産業革命」が起こったか?――川北稔氏『イギリス近代史講義』 

† 政治学 †


 イギリス近代史講義 (講談社現代新書)(2010/10/16)川北 稔商品詳細を見る ヨーロッパにおける「モデルニテ」を捉えるためには、フランス革命とは別にイギリスでの「産業革命」についても教科書的な知識以上に理解を深めねばならない。このページでは、川北稔氏の『イギリス近代史講義』第三章「ヨーロッパ世界システムの拡大とイギリス」、第四章「世界で最初の工業化――なぜイギリスが最初だったのか」を中心にまとめてみよう。【...全文を読む

詩 『 親友 』 

† 詩集 †


 「sven-baenziger  homotography」もしも君が自分の仲間を殺されたらいかなる時間いかなる手段を用いてでも落とし前をつけるべきだ私の主人はかつてそう教えただが私は違う仲間などけして信じるな仲間は裏切りのために存在するだけだ昨夜酒場で笑い合った友が明日には場末で死体になる信じるべきは友愛ではないただ荒れ果てた砂漠のみを歩けそうでもしないと忘れかけた少年時代の記憶を君は繰り返すことになる流してはいけない涙...全文を読む

いつまでも朝の来ない沈痛なレクイエム――クシシュトフ・キェシロフスキの初期代表作『終わりなし』 

† 映画 †


 キェシロフスキ初期作品集III 終わりなし/愛に関する短いフィルム [DVD](2009/12/04)グラジナ・シャポウォフスカ、イェジ・ラジヴィオヴィッチ 他商品詳細を見る ポーランド・ワルシャワを代表する映画監督クシシュトフ・キェシロフスキ(Krzysztof Kieślowski, 1941年6月27日 - 1996年3月13日)の『終わりなし(Bez końca)』 (1984)を観た。 およそこれほどシリアスな映画など存在しないと言いたくなるほど、硬質かつ洗練さ...全文を読む

「脱獄」をテーマにした二つの映画から見えてくる「自由」の概念――ジャック・ベッケル『穴』×マリウス・ホルスト『孤島の王』 

† 映画 †


 穴 LE TROU HDマスター [DVD](2013/01/25)ジャン・ケロディ、フィリップ・ルロワ 他商品詳細を見る【「自由」は出口の先にはなく、実は「過程」にこそある――フランス映画の巨匠ジャック・ベッケルの遺作『穴』】 この映画には幾つかの重要なテーマが込められている。一つは、人間同士の真の「友愛」は可能かという命題、そしてもう一つは、「自由」と「世界」についての根源的な考察である。監督のジャック・ベッケルが本作を公開...全文を読む

アメリカ文学最高峰の文体美を誇り、ボルヘスの父が愛した文豪ヘンリー・ジェイムズの傑作《The Aspern Papers》の世界 

† 文学 †


 The Turn of the Screw and The Aspern Papers (Penguin Classics)(2003/09/30)Henry James商品詳細を見る もし仮に、ジェフリー・アスパンの恋文を「真理」――秘匿され、常に巫女たちによって守られた――として策定するのならば、これは主人公の語り手「わたし」による聖杯を求める旅物語である。恋文=聖杯にはこれをずっと守り続けている二人の老いたる巫女が存在する。一人はかつてのジュリアーナ、現在はミス・ボルドローと呼...全文を読む

大江健三郎のレイトワークのナラティブである「想像的私小説」を80年代に先取っていた前衛作家小島信夫の『寓話』はなぜラディカルか? 

† 文学 †


 by Antonio López García小島信夫の『菅野満子の手紙』と並んで、本作『寓話』は極めて前衛的な方法論を取った小説である。『寓話』は1980年~86年に渡って連載されたものだが、大江健三郎のレイト・ワークの方法論である「想像的私小説」を既に先取りしたスタイルを展開している点が愕きである。本作でも、やはりエッセイ的な作者自身の日常世界を舞台にした、大江とも共通するいわゆる「内輪ネタ」が多い。しかし...全文を読む

西洋絵画における画題の階級性について――V.H.マイナー『美術史の歴史』 

† 美学 †


 美術史の歴史(2003/02)Vernon Hyde Minor、 他商品詳細を見る「芸術アカデミーについて」近代的意味での美術アカデミーの成立は16世紀ローマにおいてである。トスカナ大公コジモ1世の元、ヴァザーリ主導により「アカデミア・デル・ディセーニョ」(デザイン、素描、創造性のための学校)が成立する。これは中世的ギルドからの発展といえる。フランスでは1648年にAcadémie Royale de Peinture et de Sculpture(王立絵画彫刻...全文を読む

更新履歴カレンダー