† キリスト教神学 †

吉山 登『信仰の母マリア―聖書にもとづく信心』

信仰の母マリア―聖書にもとづく信心 / 吉山 登

『信仰の母マリア』

《聖書にもとづく信心》

「マリアは救いのためにイエスの母に選ばれたのであって、神が人となるために、ただマリアの胎を借りただけではないのです」(p24)



イエスはマリアを肉親の母であるとも認めている。
しかし、イエスはマリアを含めて、人類全体が一つの聖家族として一致することを望んでいた。

イエスの十字架の死は、マリアにとってはセンチメンタルな母子愛の物語ではない。

「信仰の母マリアの母性の出発点は、このキリストの十字架の死と復活にあるのです」(p27)



マリアは、イエスの死による哀しみよりも、神の偉大な愛に圧倒されている。

マルコ福音書では、母マリアは十字架の下に立っていない。

キリスト中心的な生き方をすることが、マリアに対する崇敬の仕方である。
マリア信仰は、常にキリストの受難と死と復活を通して解釈されなければならない。

「マリアを一番最初に信仰によって受け入れたのはヨセフです」(p39)



ヨセフは聖家族の保護者でありイエスの養父に過ぎないが、同時に天使の言葉を通してマリアを最初に受け入れた人物でもある。

著者(レデンプトール会士)は、過度に熱烈なマリア崇拝や、極端に母性愛を讃美する通俗的なマリア信仰を批判している。

『マリアの讃歌』は、マリアが自分を「はしため」だと自己規定していることに重要性があり、たんにイエスの母になったことを讃えているわけではない。
マリアは、キリストの救いを受けて、救い主の母となったと福音書記者ルカは考える。

これまでのマリア信仰は、おとめマリアを「純潔なおとめのシンボル」や「締結と徳の鑑」のように捉えてきた。しかし、実際には、聖家族は貧しく、マリアも主の「はしため」であることを望んでいた。理性的で気品のある貴婦人のような、ブルジョワ的なマリア信仰は通俗的である。むしろ、おとめマリアは自分に憎しみを抱く人さえをも聖家族の中に積極的に受け入れる、そういう愛と謙虚さに溢れた広い家族の象徴なのである。

何よりも大切なのは、単なる母性愛的なマリア信仰からの超克である。
キリストの存在を通して、初めてマリアは救いを受けた信仰の母として立ち返ってくるわけである。

マリアは「教会の母」と呼ばれるが、実質的には「イエスの母」が正しい。

天使ガブリエルがおとめマリアに受胎告知を知らせる箇所には、旧約聖書にモデルが存在する。ゼファニヤの預言書3・14、15である。
「喜びなさい」という言葉は、おとめマリア個人に対するものだけでなく、全人類に対する神の御言葉である。

イスラエル滅亡の危機――「娘シオン」=エルサレム



「娘シオン」に、おとめマリアが重ねられる。

マリアの処女懐胎は、旧約聖書の伝統を鑑みると、珍しいことではない。
うまずめが子を宿す話は何度も登場するし、アブラハムなどは七十歳のときに息子を授かった。
旧約聖書にとって、子の誕生は神の御業であり、それらは全てマリアの処女懐胎までの伏線なのである。

『マリアの讃歌』にも、旧約聖書にモデルが存在する。
それは、サムエルの母であり、うまずめであることで辱められた、「ハンナの祈り」である。

これからのマリア信仰は、親子愛的ないし母性愛的な通俗的信仰観から脱出して、福音書に沿った、イエス・キリスト中心的な「信仰の母」として再認識されていく必要がある。

Pasquale Sarullo「Our Lady of Good Counsel」

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