† 映画 †

『つみきのいえ』が持つ震災後の意味

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第81回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞した加藤久仁生監督の『つみきのいえ』を観た。これはわずか12分前後の短いショートストーリーなのだが、非常に温かくて優しい作品である。舞台は水没した世界で、主人公の老人は浸水を免れるために住居を積み木状に増築して生活している。趣味はわずかのワインと煙草で、辺り一体は色鉛筆で描かれたような味のある海に囲まれている。
郵便事業などは活きているようで、船を利用して移動している人は多いようだ。彼はこの家に想い出があり、いわば過去と共に生きている。彼の部屋には多くの写真が飾られている。大切なパイプを水中に落したことから、シュノーケルをつけて潜水して探す場面が描かれている。その時、かつて家族で生活していた部屋の記憶が蘇生する。一人の人間が、たった一人で海の中をポツンを生きているという世界観は、シュピルヴィエルの『海の家の少女』に近いものがあるだろう。本作は舞台設定のためか、3.11以後の我々に「生きる」ことの平穏さを静かに語りかけるような力を持っていると感じた。
単調な繰り返しのようだが、実はそこには確かに一人の人間の息吹を感じるのである。描写も丁寧に描かれた鉛筆画のような独特な情感を出していて、寒い冬に部屋の中で静かに視聴すれば、きっと穏やかな優しさを感じることができるのではないだろうか。クリスマスにこそ相応しい名作である。




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長澤まさみ

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