† 映画 †

『ベンジャミン・バトン』の神秘的テーマ

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 特別版(2枚組) [DVD]ベンジャミン・バトン 数奇な人生 特別版(2枚組) [DVD]
(2009/07/15)
ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット 他

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フィッツジェラルドの短編小説が原作のD.フィンチャー監督による『ベンジャミン・バトン』を観た。この作品のテーマは実は非常に錬金術的なものであり、カバラ的テーマとも密接に関わっている。というのは、彼は老いた姿で生まれてきて、成長すると共に若返るからだ。「精神的な熟成と若い少年の肉体」という、本来対立するものの「一致」は、まさに神秘主義的テーマであるといえるだろう。
ベンジャミンは船乗りとして生きていたが、老人ホームで幼少時代から暮らしてきたためか、少年でありながら老成した雰囲気である。若い姿のまま記憶を保持し続けることはこの物語の設定上不可能なのだが、若い姿のまま賢老的でもあるという「反対の一致」を、もう少し描写して貰えればよかったのかもしれない。ハチドリが彼の人生を見守る存在として、随所に登場しているのが印象的だった。
もう一つ、興味深い点をあげれば、E.ケイシーの「全てのことは前もって定まっている」というテクストが引用されている点である。当時のケイシー熱を髣髴とさせる台詞で、なかなか印象的だった。とはいえ、これはケイシーに帰せられる発言ではなく、17世紀にマルブランシュの機会原因論で具体的に概念化されているものである。「人生は謎に包まれている」、「人間は皆根本的に孤独」などという台詞と、本作の母親が「奇蹟」としてベンジャミンを扱う点などから、明らかにキリスト教的なテーマ性を帯びた映画でもあるといえるだろう。
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