† 映画 †

中断された愛の「蘇生」、フランス映画の古典『天井桟敷の人々』

天井桟敷の人々 [DVD]天井桟敷の人々 [DVD]
(2002/09/26)
アルレッティ、ジャン=ルイ・バロー 他

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マルセル・カルネ監督のフランス映画史に燦爛と輝く古典『天井桟敷の人々』(1945)を観た。これは大衆的な無言劇で活躍する役者の人間ドラマを描いた作品である。ジャン=ルイ・バロー演じる道化役者バチストと、渡り鳥のような生活をしているアルレッティ演じるガランスの儚い恋も見所だ。
人物は他にも、女好きで憎めない役者ルメートルや、ブルジョワ階級の腐敗を象徴したような劇作家の悪漢ラスネールなどが登場する。映画自体はディズニー映画に近いような場面もあるのだが、恋愛模様はなかなかシリアスだ。後半では年月が流れているが、バチストとガランスは心の何処かで互いに惹かれ合っている。けれどそれはほんの一瞬の成就しか見せず、二人は結局引き裂かれてしまう形だ。世間体として、バチストはナタリーという同じ稼業の女優と結婚して息子を作っている。他方、ガランスは富豪の伯爵の愛人として生きている。互いに別々の人生を生きているが、プラトニックな次元では運命を感じ合っているというところが見所だった。本作には、「中断されていた愛」と、その一瞬の「蘇生」が描写されている。その儚さが古い映画の味わいと相俟って、何とも物悲しい。
バローの道化役は見事だったが、私はこれを観ていて「無言劇」が言語として立派に通用しているという事実に改めて驚かされた。我々は音声言語、文字言語だけでなく、身体言語でも感情を表現できるという証左である。既に古典化して久しい作品だが、リメイクして劇団を舞台にした恋愛ドラマとして成立するような作品である。
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