† 建築学 †

中筋純『廃墟チェルノブイリ』を「読む」ーー第二のフクシマ、チェルノブイリを二度と引き起こさないために……

廃墟チェルノブイリ Revelations of Chernobyl廃墟チェルノブイリ Revelations of Chernobyl
(2008/04/25)
中筋 純

商品詳細を見る


1986年に生起したチェルノブイリ原発事故は、ヒロシマの500倍の放射能汚染が起きたとされている。当時のソ連においてはユートピア的な都市として計画されていたプリピァチは25年の歳月を経た現在でも廃墟化したままである。チェルノブイリは後のソ連解体の遠因になったともいわれている。
写真家の中筋純氏のこの写真集は2008年に初版が刊行されており、3.11の前であるが、何故か私には「未来」に見えて仕方がなかった。彼は廃墟系統の写真集を他にも出版しているという。

ここで撮影されていた写真を、私は「言語」に変換しておこうと思う。それが我々なりの記録形式になるだろうからだ。

・あるページで開かれたまま、浸蝕された書物(まるで落葉が塗されたようだが、それはページそれ自体が朽ち果てた証拠なのだろう)

・誰も乗っていない、寂しい野原に佇む無言の観覧車(プリピァチには遊園地まで建造されていた)

・誰一人そこに住んでいないということを一見感じさせないような、異様に幽霊的な集団住宅の遠景

・植物は生命サイクルが早いため、梨まで実っている

・廃墟化した建物の地面には、剥離したり老朽化した壁や天井の粉末が覆って、そこに転がっている物たちを不透明な存在にしている(歩くたびごとに、小さな粉が膝下まで舞い上がりそうだ)

・建物の中には苔植物が繁茂していて、そこには開かれた窓から降り注ぐ陽光を浴びた小さな植物の芽が育っている

・剥離した壁は、まるで樹皮や皮膚病、或いは火傷を髣髴とさせるような形態にまで変貌している

・そこにまだ置かれたまま、安らかに眠っている人形



人間がいなければ、建物は朽ちていく……。それを静かに語りかけている。写真は「言語」を奥に抱えている。人によってその翻訳の仕方が異なるだろうが、確実にいえることは、このような汚染されたゴーストタウンを人類は今後二度と作り出してはならないということだ。


関連記事
スポンサーサイト
*Edit TB(0) | CO(0)



~ Comment ~















管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


Back      Next