† 美術/アート †

絵を読む

絵を、観るのではなく、「読む」こと。
既成の絵画技法や、絵画論、芸術論とは遊離して、一枚のタブローとモノローグを展開すること。
おそらく、それによって判明するのは、同じ一枚の絵画が常に別のそれへと生成していることである。
画家は「読む」者の数だけ存在するのだ。




「孤島性」という概念に適合する絵を選別して配置する。

「David Ligareの絵」

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高校時代、冷たい教室の中で、いつも「ここは教室ではないな」と思っていた。
教室以外のどこか、そう、無人島に近い領域に違いない、そう思っていた。
「孤島性」――ある大通りで、不意に意識の深奥から静かな島が生起する瞬間、その性質。


「Daniel Sprickの絵」


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静謐さ、ということ。
波打際がたとえ見えなくても、その静けさには意味があると見出すこと。
「孤島性」の肯定的解釈。
孤独には静かな研究生活が適切であるということ。

隣人が、ここにはいないということ。
「孤島性」の否定的解釈・・・。


「Odilon Redonの版画」


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孤独は窓の外にあるのか、内か、全域か?
「孤島性」と、暗さということ。
漆黒さ、心地好い漆黒さに魂を染められる感覚。
夢の中でまで孤独を感じている私たち。



「Giorgio de Chiricoの絵」


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「孤島性」の本質としての、人物の「点化」。
点化した人物は、空間の遠方で一点か、わずかな二点として静止する。
大通りを歩くときの、あのマトリクスな人物の動き。
「点」から「線」へ。
「線」が切断されて、再度「点」へ回帰する。
「孤島性」の本質としての、人物の「点化」。





「Stephen Gjertsonの絵」



少年の日の思い出。
ずっと遠くを見ていた。
「何か」を、ではなく、「何でもない何か」を、ただじっと待っていた。

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ヤンチャな僕ら。
親友と、海賊の衣装に身を包んだ記憶。
誰もが「誰か」になれる時代。


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「Steve J. Levinの絵」


瞼を閉じて、二十年過ごせば、瞼を開いたとき、そこに誰がいるだろう?
一年前の自分の顔が他者のそれならば、きっと一秒前の自分の顔もそうなのだ。

紳士に憧れつつ、理性を失ってしまうこと。
愛に餓えつつ、孤独に吸い寄せられること。
鏡に映る顔から正確に掴める人格など、何もないのだ。

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泣き出す三分前。
誰かに悪口をいわれて?
意地悪なおばあさんに、頬をつねられて?

泣かないで。
泣けないほどの日に、ちゃんと泣けるために。



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「Istvan Sandorfi の絵」


疲労。
身体ではなく、魂の。
空間に溶け込んで、すっかり無機体に魂を譲渡する。


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「Lorenzo Fernándezの絵」


身近な道具をモノクロに染めてみる。
あるいは、セピア色に。
静かに物質が並んでいる。
使われることも、朽ちることも望まず、ただそこに、「ある」。
手を伸ばせば、冷たい感触が伝わってくる。
ものは生きているのだ。



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「Eduardo Naranjo の絵」



もういない娘の記憶。
失われた少女時代の切片。
化石化したアルバムの中の、砂埃から湧出した一つの想い出。


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思考が、炸裂する瞬間。
身体が後退して、空間がそこで凝固する。
現在の一歩手前に突出した、ちぐはぐな衣装。
何か新しい概念に到達した哲学者の、心象風景。

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「William Bouguereauの絵」

叶わぬ愛。
死も厭わずに愛し続けたのだ、「彼」を。
引き裂かれたのは運命の悪戯?
それとも、発狂するほど愛したから?


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天使たちの、愛撫。
このまま瞼さえ閉じていれば、至福の歓喜は世々限りなく続くだろう。
瞼を、閉じていさえすれば。
天使の愛撫、それは熱烈な片想いと類似している。


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ねえ、神さま?
どうして僕はこんなに愛されるの?
それは彼女たちが天使のような愛を持つから?
それとも、この僕が愛の天使だから?
神さま、どうか僕に教えて。



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僕をその気にさせた君へ。
君が瞼を閉じている間に、僕が愛の王国へと誘う。
永遠の愛の園へ。
僕はただの誘い役を演じるべきかい?
それとも、君の心臓を奪う愛の天使であるべきかい?
全ては二つに一つ。
君次第さ。



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 「Hanks Steveの絵」 



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君が木漏れ日を見ているとき、
僕はよく君の背中を見つめていた。
ああ、この話はもう話したね?
君の背中にある光――。




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小さい頃、君はよく胸に手を当てて祈っていた。
その姿を多くの紳士たちが褒めそやしていた。
信じられるかい?
僕は祈る君に嫉妬していたんだ。




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だからこそ、彼女は海辺へ向かったんだ。
そこにはもう、彼女の記憶は何もないから。
澄んだ白い砂浜が、待っているだけだから・・・。


彼女はいつも君だ。





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まだ完全には涙を拭いきれない世界なんだ。





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われ、海のメロディーを呼び起こしつつも、そのものについては黙して語らず。
そこに流れる音楽を、全世界に向けて開け放つべし。
愛なきところに世界はなし。






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あらゆる天使は、己の美に対して盲目である。






 「Luis de la Fuenteの絵」 



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薔薇の告白――。

“なぜ私はこれほど美しいのか?”





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“お前は音曲であり、
蒼穹、宮殿、清流、
そして天使であり、
神がわたしの死んだ眼にお示しになる
永遠の、無限の、
懐かしい薔薇なのだ” 

 J・L・ボルヘス「The Unending Rose」





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君ほど美しい孤独の持ち主が、
未だ嘗て存在したであろうか?







 「Javier S. Barreraの絵」 



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“美なるものがただ「美」をのみ意味しうる者こそ選民である”

         オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』






 「Daniel Gerhartzの絵」 



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“ほら、その通りだ、
小さな赤い電話ボックスで受話器を置いたところだ、
今は通りにいる、
君の声がまだ聞こえている、
どこなのかは分からない、
そこで私も迷子になる・・・”

        ジャック・デリダ『絵葉書』







 「Marisa Terrónの絵」 




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“まあ可愛らしい!
もうすっかり一人前ね、
ご婦人がたにおませな関心がおありだこと。
叔父さんの血統ね。
いまに立派なジェントルマンになるわ”

 マルセル・プルースト『失われた時を求めて』「スワン家の方へ」







 「Jean Marie Barreの絵」 




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“海辺で。
――私は住む家など決して建てないだろう”

     F・ニーチェ『悦ばしき知識』







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私は、この絵の先にエデンが存在すると信じる。
画家がそれを描かなかったことに感謝すべきだ。
彼がそれを現前させていたとすれば、
おそらく私は今、
ここにいない。






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ラファエル前派の唯一にして最大の犯罪とは、
海辺をほとんど描かなかった点にこそある。






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小さなユースホステル。
きっと、色んな国籍の若者たちが、相部屋で楽しく団欒している。

或いは、
もう誰も暮らしていない
ゴーストマンション?






 「Manuel Hurtadoの絵」 





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世界を歩むことに疲れたら
足を止めて、このベンチに座ろう。

きっと何かが見つかる。








 「Felix Masの絵」 




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“昔は誰でも、
果肉の中に核があるように、
人間はみな死が自分の体の中に宿っているのを知っていた”


    R・M・リルケ『マルテの手記』





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