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マルセル・プルースト『失われた時を求めて』「スワン家の方へ(2)」

失われた時を求めて〈2〉第一篇 スワン家の方へ〈2〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)失われた時を求めて〈2〉第一篇 スワン家の方へ〈2〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
(2006/03/17)
マルセル プルースト

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『スワン家の方へ(2)』(2巻)「第二部 スワンの恋」

「愛情が怖くてらっしゃる? まあ、おかしな話ですこと。わたしなど、それしか求めておりませんのに。もし新しい愛情が見つけられるものなら、命を差し上げても惜しくありませんわ」オデット、p39

「それというのもスワンは、オデットを恋するようになって以来、ちょうどごく若いころ自分を芸術家と感じていた時代のように、眼に入るすべてに魅力を感じるようになったからだ。だがそれはもう以前と同じ魅力ではなかった。現在感じる魅力、それはオデットによってのみ、それらのものに与えられていたのだ」p123

『スワン家の方へ(2)』(2巻)「第三部 土地の名・名」

「私にとって美しい光景とは、私を喜ばせるために人工的に組み合わされたのではなく、必然的で変更できないと分かっているものでしかなかった――それこそ風景の美しさ、ないしは偉大な芸術の美しさだ」p422

「…名前は様々な人間について、また町について――名前のおかげで私たちは、町も一人ひとりの人間と同様に、個別で独特なものと考えるのに慣らされているのだが――一つのあいまいなイメージを提供し、そのイメージが名前から、まあその名前の華やかだったり暗かったりする音の響きから、イメージ全体を一様に塗り潰しているあの色彩を引き出してくる」p430

「自分の力をはるかに超えた、ある至高の運動によって、私は自分を取り巻く部屋の空気をぬけがらのように脱ぎ捨て、それにかえて同じくらいのヴェネツィアの空気で部屋を満たしたが、それは私の想像力がヴェネツィアという地名にこめた夢の空気と同様に、いうにいわれぬ特別な味をした海の空気だった。私は自分のなかに、不思議な解体作用が行われているのを感じた」p441

「けれども一つの信仰が消滅する時、そのあとに生き残るものがある――私たちが新しいものに現実性を与える力を喪失したので、その力の欠如を覆い隠すために、ますます強力に生き残るのだ――それは、かつて信仰によってかきたてられていた古いものへの物神崇拝的な愛着である。まるで、神のごときものが宿っているのは、そういった古いもののなかにであって、私たちの中にではないかのように、また、私たちの現在の不信仰は、偶然の原因によって、つまり神々の死によって、もたらされたものであるかのように」p506
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