† 文芸理論 †

小説の基礎学習(6) テス・ギャラガー「ふくろう女の美容室」

ふくろう女の美容室 (新潮クレスト・ブックス)ふくろう女の美容室 (新潮クレスト・ブックス)
(2008/07)
テス ギャラガー

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本作には起承転結といった展開はなく、掌編らしくヘアサロンでの人間観察が主な内容となっている。フランクという白髪の男性に対する主人公の気持ち(たまたま美容室で出会った男性が、もしも人生のパートナーだったら? といった感じの想像)が本作の中心である。

「起」シャンプー中

場所は「アウルウーマン・サロン(ふくろう女の美容室)」。店名の由来はアメリカ西部の詩から取っているようだ。
シャンプー中にたまたま席が隣同士になった壮年の白髪の、「うまく年を重ねたジェラール・ドパルデュー」に似ている(ベルイマン映画にも出てきそうな)男性フランクに主人公は少し惹かれている。
フランクは話によると庭師で、彼はベッキーという女性客と話している様子。庭弄りの話をしていて、主人公は聞いている。

「承」シャンプーが終わる

シャンプー後の濡れた髪のフランクは、「まるで中古車セールスマンのよう」。見た目は惹かれるが、話の内容からなんとなく彼を嫌い始める主人公。好きになれない感じがする。

「転」ジョー入店

フランクの友人のジョーが入店(男性客が二人なんて珍しい日らしい)。
フランクは調子に乗って主人公にミリタリー系の話をして、「撃て!」と熱っぽく語る。その活気に少し惹かれる主人公。

「結」この美容室に通い始めた理由

フランクのこと、店のこと、アウルウーマンの詩について考える。フランクの存在にどこか励まされている主人公。

「注目点」

以上のように、特に動きはなく終始サロンの場面である。主人公は寂しがりやで、水恐怖症の中年女性で、店内では少しぎこちない様子だ。彼女はフランクにやはり気があるようだ。この美容室は都会的で洗練されているというよりも、片田舎で少しアットホームな感じだ。店内の会話風景で進んでいくストーリー。
フランクについての主人公のイメージ。

「はたして、これまでに二十一発礼砲を捧げられた女が何人いたことだろう。…一つだけ確かなのは、この私が二十一発礼砲を捧げられることはけしてない、ということ」(p14)








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