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鈴村智久の研究室

表象文化論、美学の研究者鈴村智久です。哲学・思想ブログランキング総合2位。

〜美しくエレガントな貴女のために〜20世紀を代表する貴婦人ナディーヌ・ロスチャイルドが教える『ロスチャイルド家の上流マナーブック』

Posted by 鈴村智久 on   2 comments   1 trackback


ロスチャイルド家の上流マナーブック―ナディーヌ夫人が教える幸せの秘訣 (光文社文庫)ロスチャイルド家の上流マナーブック―ナディーヌ夫人が教える幸せの秘訣 (光文社文庫)
(1998/02)
ナディーヌ ロスチャイルド

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【礼儀作法のエレガンス】

「どんな人が良いマナーを身につけているのでしょうか。まず第一は、人にたいして常に尊敬の念を持っている人のことです。つまり、他人の領分、私生活、センス、意見、振る舞い、友人の選択に敬意を払う人のことです。
・けして無遠慮でない人。
・けして迷惑でない人。
・けして邪魔でない人。
・けして馴れなれしすぎない人。
 このような人は、中庸や調和の法則を知っていて、けして調和を乱さないのです。また、上席の順を尊重し、礼儀のルールを守り、多くの細かい点や思いやり、礼儀作法、そしてテーブルマナーの全てを心得ています。良いマナーは社会における振る舞いと切り離せないものです。そして、その込み入ったメカニズムは、私たちが他人と相対するとすぐに動き始めるのです。君主は馬に跨がり、武具を操ることに抜きん出ていなくてはなりませんでした。優れたお付きの者は、男でも女でも、いかなる場合でも言うべきこと、書くべきこと、なすべきこと、着るべきものを弁え、そして君主あるいは物乞いの前でどのように振る舞うべきかも心得ていたのです。
 私はある日、南仏の人々の持つ親しみ易さと貴族的厳格さが見事に溶け合ったサブラン公爵夫人の、こんな言葉を耳にしたことがあります。「社交界の女性は、けして暑がったり、寒がったり、お腹をすかしたり、疲れたりしません。また彼女がいかなる試練をくぐり抜けようと、それについて嘆いたり、打ち拉がれた様子を見せたりしません」と。そして公爵夫人は最後にこう言われました。「お行儀よくするのですよ。がんばってね」。(p49−50)

【真の気品と美しさ】

「私がこれまで出会った女性で、人生の輝かしい勝利を得た女性たちは、とりわけ美しいというわけではありませんでした。美しさはとても強い感動を惹き起こしますが、他の全ての感動と同様、多かれ少なかれ、いつかは泡となって消えるのです。初めての日の感激は、太陽の下の霧のように消え失せるのです。
 もしその美しさの背後に女性としての魅力がなかったら、もうその美しさは何の意味もないものとなるでしょう。人は自分の美しさに責任はありませんが、自分の魅力の一部については責任があるのです。なぜなら魅力は培われ、育ち、女らしさと共に花開くからです」(p53)

名ティエ《ルイーズ・デ・フランス夫人》
ジャン=マール・ナティエ《ルイーズ・デ・フランス夫人》

【若い女性へのアドバイス】

「女性であるということは、馴れなれしいこと、下品なこと、だらしないこと、そして低俗なことを自制することでもあります。神秘性、秘密、無関心なそぶり、そしてある種の気まぐれさえも自分の中で培うことです。むやみやたらに、最初の胸のときめきに身を任せず、むしろ相手に望ませるようにもっていくのです」(p54)

【上手に生きること、それは老いることを学ぶこと】

「じょうずに生きること、それは老いることを学ぶことです。外見のみに頼らないで自分の内にしっかりした価値観を築くことです。知性、教養、品性、勇気とゆるぎない精神(古代人の美徳)は、女性に外見の美しさよりももっと美しい魅力という名の美しさをもたらすのです。だからといって私は、灰色の髪や、ざらついた肌になるのを急ごうとしているわけではありません。それどころか、一生懸命肉体の手入れをし、人生の終わりまで規律正しく生きる女性を、とても素晴らしいと思うのです。…なるべく早く、人生に迷わないようにしっかりした土台を固めることです。この心の手入れの土台になるのが、あなたの親族、友人、そして、日々の興味の対象なのです。カンディード(ヴォルテールの同名小説の主人公)も、「あなたの庭を耕さなくてはいけません」と言っています。あならのあらゆる情熱の庭を、それが成長し花開き、幸福な現在に根をしっかり張るように耕さなくてはなりません」(p76-78)

【怒りとの付き合い方】

「ひとつは、自分がなぜ怒っているのか分析することです(不当なことへの怒り、願望、ジェラシー、屈辱、仕返し、失敗のおそれなど)。もう一つは、なぜ相手の振る舞いに苛々したのか、その分析です(彼の外見や態度があなたの嫌いな人に似通うものがあるのか)。…では怒った後に、私たちは何をしたら良いでしょうか。まず短時間でも激しい運動をしましょう。走ること、サッカーかテニス、激しい家事労働など何でも体を使うことに没頭します。それだけが、この突然のアドレナリンの分泌によって生じた毒を燃焼させ、取り除くことができる方法なのです。そして肉体的な治療が終わったら、次は人との関係の治療が残されています。あなたはまず激情に駆られたことをお詫びしなくてはなりません。最も安全な方法は、あなたが悔やんでいることを手紙に書くことです。電話ですと、一言が再衝突をもたらすこともあります。礼儀正しく関係を修復する方法を選んでください。そして最後に、あなた自身の心の中を分析してみてください。怒りと憤慨を混同させてはなりません。怒りは一方的でエゴイスティックなものに対し、憤慨は往々にして、良心の発露であり、危険を顧みずに恥ずべき行為を拒否する心の動きなのです」(p73-74)

「よけいなおしゃべりや、無分別で軽率な言動が思わぬ失態を生みます。取り返しのつかない過失は、ポール・クローデルが美しく表現した、「耳が聞こえなくなったと錯覚するほどの沈黙」で赦しを乞うしかありません。ただ沈黙あるのみです」(p81)

【レストランでのマナー】

・レストランでは、常に最初に座らないこと。相手を優先させること。男性の場合、レストランの扉を開いて女性を通してあげ、常に全ての女性たちが座るのを見届けてから座ること。
・レストランで女性がコートを脱ぐ時は、連れの男性は必ず手を貸すこと。
・レストランでは、メニューを選ぶのに時間をかけすぎないこと。招待客の場合、高価すぎたり安価すぎる(逆に失礼)ものは頼まない。
・テーブルでは、女性にワインや水を必ず注いであげること。男性はテーブルマナーでは常に「ホスト」役であり、彼女のワインの減り具合に気付くことができるように。
・もしその店に不満、明らかな落ち度があった場合、店内では穏やかな微笑みを保ち、けして言動に出さないこと。後で静かにリストからそのレストランの名前を消すだけで良い。

【ダイエットについて】

・ダイエットしていることは、けして人に話さないこと。食事中は満腹になるまで食べず、本当に空腹になってから食べるようにすること。間食は、午後のフルーツ以外はけして口にしないこと。
・ヴェジタリアンの場合、露骨に肉を食べる人を批判しないこと。他人の流儀も尊重できる精神を持ち、「党派」に縛られないこと。

【細やかなマナー・マニュアル】

・基本的に、最初の「手紙」、「電話」でのお誘いは、男性からすること。女性は礼儀作法の伝統からして、「誘われる存在」であることを認識しておくこと。
・エスカレーター、階段では常に男性が前に立つこと。
・家に招待されると、女主人(ホステス)が食事を出したり、お皿をさげるのを手伝うこと。皿洗いも男性が率先して手伝うこと。「役に立つ客」になり、家事や洗車なども率先して手伝うこと。
・女性を外出に誘う場合、必ず彼女の家まで(あるいは最寄り駅)まで送ること。ダンスに誘った後でも、必ずテーブルまで送ること。
・オペラ座、劇場にいく場合、美しいドレスとダークスーツの準備はしておくこと。

Isabella de Bourbon-Parme  ジャン=マール・ナティエ
ジャン=マール・ナティエ《マリア・イザベラ・フォン・ブルボン=パルマ》

(3)会話のマナー

「言葉は強力な武器です。言葉をじょうずに操る人は聴衆をも操れますし、また雄弁な弁護士は、罪人の首も救えるのです。五十の単語しか操れない人間は、貧弱な考えしか表現できません。いっぽう、二千の単語を使う人間は、重大な難局をも脱することができます。教育の不平等は、不平等の中でも最も不当なものです。しかし私は、いくつになっても学ぶことに遅すぎることはないと、強調したいのです。また才能豊かに自己表現できる人は、他人より優れていることも確かです。理解してもらうために一番大切なことは、歯切れよく声をしっかり出し、遅すぎも早すぎもせず、小さくも大きくもない声で話すことです」(p85)

【自分自身を立てず、相手の話を聞ける穏やかな所作】

「口から出任せにしゃべることや、相手の話の腰を折ること、また、しっかりした考えもなく反対したり、相手が話す前に代わりに言ってしまうことは慎みましょう。また自分の考えを相手が推し量る間も与えず、「私の言うことがおわかりですか」と言ってはなりません。けして話題にしてはいけないことは、健康、お金の悩み、家庭の悩みや使用人のぐちなどです。自分の成功談、夫や子どもの自慢話、そして犬のお手柄なども口にしてはいけません。慎み深く、なるべく自分自身については話さないようにしましょう。話題に選ぶのは、相手のことや仕事のこと、周囲の人々や最近のニュースなどが良いでしょう。
 使い古された言い回しや諺、決まり文句など、安易で、非個性的な話し方も避けるべきです。まや、悪いニュースや災難についても避けます。楽しい話題しか口にしてはなりません。女性は子どもやお年寄りの前で、露骨な話や卑猥な冗談はいけません。また、自分の恋愛沙汰や魅力についての自慢もいけません。その他、政治や宗教上の問題について話をする時には、口論を避けるようにすることが大切です。
 穏やかに話し、断定的な言い方、攻撃的な態度に出ないことが肝心です。そうすることで、あなたは自分の感情を抑制できる人とみなされ信頼されます。あなたにとって不可解な相手の意見にも敬意を表することで、何よりも礼儀正しい人と思われます。
 また家に人を招いた時には、話題がデリケートな問題に向かいそうになったら方向転換させたり、全員に話す機会を作るよう心がけることが、ホステスとしての大切な役目です」(p85−86)

【会話の中の嘘について】

「“パリでは、正直な男は一日十回嘘をつき、正直な女は一日二十回、社交界の男は一日に百回嘘をつく。社交界の女に関しては一日に何回かはかつて数えきれたためしがない……”。これは、19世紀末に、賢明なイポリット・テーヌが書いた言葉です。私たちは、たとえ二人でいても、嘘をつくことなしに社会生活を送ることはできないでしょう。でも本当のところ、なぜ人は嘘をつくのでしょうか。…私たちはよくイマジネーションの豊かさゆえに、実際よりも美しく脚色して嘘をつくことがあります。これは人を惹き付ける美的な素晴らしい嘘です。これはだますというのではなく、話し手も聞き手もそれぞれがフィクションと現実の間をさまようのです。まさに小説の世界です。
 あなたも既にお気づきだと思いますが、私たちはとりわけ、愛する人に嘘をつくものなのです。私は、あなたと愛する人の仲が睦まじいことを、そして二人の間にたくさんの小さな嘘があることを願ってやみません」(p78−80)

【手紙を書くことの大切さ】

「私たちは、もはや事実を記したり、考えを表すために適切な言葉を探し正確なニュアンスで書こうとしなくなったことで、記憶力を乏しくさせているのではないでしょうか。手紙を書かなくなったことで、文字からの感動を忘れてはいないでしょうか。手紙は、写真と同じ役割を果たします。そのときの感情、歴史、一日の出来事、太陽の光を永遠にとどめるのです。手紙は、私たちの心の最も奥深いところまで導く王道なのです。…非難の言葉を手紙に書いた時、私はすぐには送らず、一日か二日そのままにします。そしてもう一度読み返してみて、その文章がその場だけの感情に捕われたものでないと判断できた時、初めてポストに入れます。ラヴレターが、たとえそれがどんなに不器用なものでも、長いあいだ生き続け感動を与えるものであるのに対し、刺々しい手紙は、時が経つと読むに耐えないものになるのです」(p93)

【社交上での形式的な手紙のマナー】

・気取り、誇張を避けること
・副詞や形容詞で飾ったり、紋切り型の文句やありふれた言葉、長過ぎる文章はなるべく避けること。簡素な文章が(といってもそっけないのはだめです)、最も新鮮なのです。
・だらしない文や馴れ馴れしい文を避けること。
・何週間も出さないでいて、六枚の便箋に長々と書き連ねるよりも、短くても(短いことを御詫びして)なるべく早く返事を書く方が良いでしょう。いかなる場合にも、どんな手紙にも返事を書くのが礼儀です。
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Comment

Sacco says... "☆親愛なる智様☆"
ブログが とても素敵になっておりましたので、とても嬉しく思いました(*^_^*)
智様の意識により近づいたブログになったような気が致します。

映画パフュームを観られたのですね!嬉しいです。

私はパフュームは何度か観て好きになりました。

主人公が最高の匂いを創りだしましたが、結局 あの世界の誰一人とて彼の香水の素晴らしさを知る者はなく、ただ匂いに酔いしれることしかありませんでした。


私はあの映画を観て、ある意味キリストの孤高さと繋げ思考しておりました。

当時、キリスト意識は素晴らしいものだと多くの人間にも感じてもらえていたのでしょうが、キリストの眼差しで世界を見るものなど誰一人とていなかったと思います。

匂いの世界は意識の世界と とても似ています。


香りには確かに意識レベルのような香りのレベルといったものが存在します。

そして、それは日々の学びを通して自分と対峙し掴み取ってゆけるものだと私は信じております。


私は貴方様と出逢い多くの毎日といっても過言ではないほど刺激を受けております。
それは、とてもとても幸せなことです。

こちらで紹介されていた書物は抜粋されていた文章が私の心に深く届きましたので購入致しました。

書物は沢山読みますのでなるべく図書館にて借りるようにはしておりますが、こちらの書物は持っていると良い気が致しました。
2012.09.19 09:57 | URL | #L6L1d2IA [edit]
satoshi says... "*親愛なるSacco様へ*"
*親愛なるSacco様へ*

こちらでの返信が遅れてしまい大変申し訳ありませんでした。
先日、貴女に贈っていただいた「レニュイ・ダドリアン」ですが、トスカーナ地方の庭園をイメージして創られたものだったのですね。
貴女と交流し始めて以来、ヨーロッパ庭園学に関心を持っている私としては実に興味深い香水でした。
庭園と香水は相性が良いのでしょうね*

ブログイメージはゴシックをイメージしております。
各ページをクリックすると画面に広がるタイプなので、少し見やすくなりましたでしょうか。
貴女が教えていただいた映画のリストやクラシック、洋楽などが私にとても良い刺激を与えています。
どうぞこれからも宜しくお願い致します*



敬愛する貴女へ






2012.10.17 08:54 | URL | #- [edit]

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