† 展覧会 †

《ミケランジェロ展》(国立西洋美術館)の記録




 レオナルドと同じく彼も建築案、素描、絵画などに手を染めているが、本業として自覚していたのは「彫刻」の方であったと述べる研究者も存在する。ルネサンスからマニエリスムへの橋渡しとして位置付けられるミケランジェロだが、今回の個展では彼の全生涯の仕事のごく断片しか紹介されていないため、「マニエリスム」についても絵画における「人体の捻れ」という一般的な解説通りのテクストが説明パネルに掲載されていた。私はミケランジェロをマニエリスム、続くバロックとの相関で把捉する場合、建築案と《ラオコーン》発見以後の彫刻群はコンテクストとして避けて通れないと考えているので、今回の紹介方法には若干絵画寄りが眼について不満が残った(出品数の問題もあり)。また、画廊内のスクリーン説明でも、システィナ礼拝堂天井画の《アダムの創造》における神とアダムの指の「非接触性」を強調するなど、やや一般的なミケランジェロ観の枠内に収まっていている気がした。
 瑣末なことだが、レオナルドよりは字は下手であろう。彫刻家としての力作業のためか、デッサンではどちらかというとダイナミックでラフなスケッチが多い。筋肉や人体の素描力は、明らかにレオナルドが上だが、ミケランジェロの場合、彫刻のためにデッサンをしていたので、絵画の側面からのみの一方的な評価を下すことができないのは言うまでもない。《レダの頭部》はレオナルドも描いており、当時の画家たちが好んで描いた女性像であったことが窺える。
 今回の展覧会はシスティナ礼拝堂の五百年祭を記念するイベントの一貫だったが、ミニチュアのコピーとはいえ、天上画に描かれた各人物についての若干の説明が準備されてもいた。一瞬だけ、ステファノ・マデルノの《聖カエキリア》の包帯を頭部に巻いたような女性を見つけたので確認してみると、別の聖女像であることが判った。これらの無数に描かれた人物は、後の画家からもモデルとして引用されていると考えられる。
 
(2013.10.9鑑賞)






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