† 映画 †

遊び心の効いたヌーヴェル・ヴァーグの恋愛コメディ――リュック・ムレ『カップルの解剖学』

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Anatomie d'un rapport

 ヌーヴェル・ヴァーグの隠れた名匠リュック・ムレの『カップルの解剖学( Anatomie d'un rapport)』(1975)を渋谷アップリンクという小さな映画館で観たので、その記録を残しておく。まず、この映画館のスクリーン自体が小学校時代の視聴覚教室を更に小さくしたようなアットホームなもので、最初入った時さすがに驚いてしまった。上映といっても、スクリーンに拡大して映しているだけなので本格的な映画館とは無縁なのだが、こういう場らしい作品の一つとして、ムレの本作も存在するのだろう。実際、この映画は恐ろしいほど低予算で制作されているのではないだろうか。主人公の男性はリュック・ムレ自身であり、ヒロインとのダイアローグが中心である。それも、恋愛を解剖するというよりは、どちらかというと同棲者との性生活について気付いたことや感じたことを、あまり脈絡なく語っているという具合だ。
 一つ興味深いのは、この映画を制作するために構想している場面がラストで登場する点だろうか。いわば、映画作りの場面をそのまま作品の延長上に持ってきているわけだ。相手役のラシェル・ケステルベールは物語の中では気難しく、ヒステリックな調子であまり笑顔を見せないが、実際には物語の中よりも、制作談話での対面カットで監督ムレとの親密さが伝わり、少し安心した。「性」をテーマにした、できるだけダイアローグ中心の静かな映画を作る――その構想案と実際にできた物語(未完成)の二つを「作品」として提示しているのが本作である。「映画を作る」という作業について、極めて自覚的で方法論的な目的意識を持った作品の一つでありながら、軽快な遊び心の効かせている。

 
(2013.10.10鑑賞)



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