† 映画 †

不穏は至るところに遍在する――ジュゼッペ・カポトンディ『時の重なる女』(第66回ヴェネツィア国際映画祭女優賞受賞)


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(2013/04/03)
クセニア・ラパポルト、フィリッポ・ティーミ 他

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『時の重なる女』(La doppia ora)

監督:ジュゼッペ・カポトンディ

2009年のイタリアのサスペンス映画。2009年9月10日に第66回ヴェネツィア国際映画祭において初上映され、主演のクセニア・ラパポルト(英語版)が同映画祭の女優賞を受賞している。
日本では2010年4月30日と同年5月3日にイタリア映画祭2010で『重なりあう時』のタイトルで上映された後、2012年8月4日から三大映画祭週間2012で一般公開された。

キャスト

ソニア - クセニア・ラパポルト(英語版): ホテルの客室係。
グイド - フィリッポ・ティーミ(イタリア語版): 元刑事の警備員。
マルゲリータ - アントニア・トゥルッポ(イタリア語版): ソニアの同僚で唯一の友人。
リッカルド - ガエターノ・ブルーノ(イタリア語版): 強盗団の頭目。グイドを撃った男。
ブルーノ - ファウスト・ルッソ・アレシ: ホテルの常連客。
ダンテ - ミケーレ・ディ・マウロ: グイドの親友の刑事。

※出典:Wikipedia




 日常には不穏が遍在している。予期できない、不可思議な不穏が……。
 ヒロインが記憶障害を持っている平凡なホテルのルームサービスという設定が効いていたのかもしれない。無論、不確かな出来事の連続をヒロインの妄想で片付けるストーリーはサスペンスの定型だろうし、本作もその点では常道なのだが、私が考えていたことはもっと別のことだった。特に、死んだ恋人が職場の監視カメラに平然と映り込む場面は奇怪である。常軌を逸した、不確かな要素が日常に介入すると、途端に好奇心をそそられている自分にこの映画を観ていて気付いた。特に冒頭のホテル客の投身自殺は、この映画の不穏さと奇怪さを端的に集約しているようで極めて鮮烈であった。行ったこともない外国の都市で、恋人と映っている写真が発見されること――これも日常を悪夢的な次元に異化する要素の一つなのだろう。ジェイムズの『ねじの回転』でもヒロインの「妄想」に幽霊の原因を位置付ける解釈が流行した時期があったが、本作ではそれを逆にストーリーに利用している感覚(実は犯人グループの主犯の愛人という設定で、本人はその記憶を断片的にしか憶えていない)である。
 このヒロインの世界の捉え方のように、実は我々の意識のあり方も都合の良いようにバラバラに構成されているだけなのかもしれない。不穏は、夜の森を歩く人が頭上の鳥獣の息遣いに不安を煽られるように、常にどこからともなく我々を見つめているのかもしれない。
 













 
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