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鈴村智久の研究室

表象文化論、美学の研究者鈴村智久です。哲学・思想ブログランキング総合2位。

鈴村智久の小説売上げランキング/ロイヤリティに対する「責任」を高く持ち続けること

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【鈴村智久の小説売上げランキング】


このページでは、これまで私たちが販売してきた小説の販売ランキングを発表します。
どの本が売れているか、という「傾向性」が判れば、読者様が私の書いた中で何に関心を持って下さったか、換言すれば「何を書くように求められているか」も見えてきます。
実際にどの小説が売れたのか、これは実は書き手にとって、とても大切なことです。
私の小説は価格が基本的に一冊200円から250円で設定されていますが、2014年の8月から出版を開始して以来、実はけっこうなロイヤリティが発生しています。
これも、皆様の御支援の賜物です。
それでは、一位から四位まで順番に発表していきましょう。


◆1位『聖アントニウスの誘惑』◆


聖アントニウスの誘惑聖アントニウスの誘惑
(2014/08/31)
鈴村智久

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「内容紹介」

Web2.0以後の高度に先鋭化したネット社会の「黄昏」を舞台にした鈴村智久の初期作品集。
Page Not Found(ページは見つかりませんでした)という画面から召喚される悪夢を描いた表題作の他、ありとあらゆる事物が記号表現化した仮想世界で〈創造主〉を探し求める旅を続ける少年と少女の巡礼譚「MOTHER Ω」、無人化したプログラム世界の夕暮れの廃墟に存在する謎の知性との接触を描いた「デイノン」など――Web社会の「盲点」から現代人の名状し難い孤独を炙り出し、存在論とメディア論の新たな地平を描出した来るべき時代の黙示録。【装訂/門倉ユカ】

【目次】

1―――『MOTHER Ω』
2―――『デイノン』
3―――『聖アントニウスの誘惑』
4―――『4 0 4』
5―――『ヨースター島の迷宮』





◆2位『メリーゴーランド』◆


メリーゴーランドメリーゴーランド
(2014/08/30)
鈴村智久

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「内容紹介」

鈴村智久による前衛的な実験作品三篇を収録した新しい文学のための羅針盤。少年時代の記憶をポリフォニックに再構成した表題作の他、ギリシャ神話のイカロスの落下の過程を無限に遅延させ続ける「ゆっくりと、落ちてくる」、著者が十代の頃にマックス・エルンストに触発されて制作した「〈流/C〉」の三作を収める。小説とは根源的に何なのか、その「制度」そのものへの懐疑なくして新しい現代文学は誕生しないと感じる全ての読書家への真の応答がここにある。【装訂/門倉ユカ】

【目次】

1―――『メリーゴーランド』 
2―――『ゆっくりと、落ちてくる』
3―――『〈流/C〉』 






◆3位『黒アゲハ』◆



黒アゲハ: BLACK SWALLOWTAIL黒アゲハ: BLACK SWALLOWTAIL
(2015/03/12)
鈴村智久

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「内容紹介」

飽くことなき女色に耽った十八世紀英国の放蕩貴族ロチェスターに我が身を仮託しつつ、果てしなくセックスを繰り返す青年の日常がポップに描かれた《BUTTERFLY SEX》。
名門カトリック女子高を素行不良から退学し、初めてポルノに出演することになった少女の卑俗な言語を媒介にして描出される性の宴《BLACK SWALLOWTAIL》。
性愛にのみ聖性の回復を企てる青年が出会った女との忘れられない一夜《LINGERIE HEART》の三篇を収録。
卑俗かつ挑発的な言語を大胆に駆使した「露出症」的エクリチュールの極北。
【装訂/門倉ユカ】

【目次】

1《BLACK SWALLOWTAIL》
2《BUTTERFLY SEX》
3《LINGERIE HEART》





◆4位『アニエールの水浴』◆



アニエールの水浴アニエールの水浴
(2014/08/29)
鈴村智久

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「内容紹介」

現代文学において「書くことの不可能性」(M・ブランショ)、「言語的な苦境」(ド・マン)の超克が企図される昨今、ボルヘス文学の遺産を受け継いだ著者が「来るべき文学の可能性」を提示した問題作。どこにでもいる大都市の男と女の偶然の出会いを通して、緩やかに〈存在〉の迷宮が可視化していく。多忙な生活を送る若手女性デザイナーが、プールで出会った青年と繰り広げる禁断の対話の果てにあるものとは……。






【ロイヤリティに対する「責任」を高く持ち続けること】


いかがでしょうか。
なかなか作者としても面白い結果になったように思います。
このランキング結果から一つ言えることは、SF系と官能系が傾向性として重要であるということです。
私が洗礼を受ける前(19〜20歳頃)に書いていた『聖アントニウスの誘惑』は、事実上の処女作です。
この作品では、「Web」をテーマにした近未来社会、あるいは更に遥か未来の世界を舞台にしています。
この作品集を書いている頃、私はボルヘスとギブスンを融合したような「新しい文学」を構想しつつ、当時話題を集めていた『ウェブ進化論』や『基礎情報学』といった情報学系の本を盛んに読んでおりました。
また、「ページは見つかりませんでした」というhttpステータスコードをテーマにした作品群は、デリダが『絵画における真理』で提示したparergon(余白)という戦略素を意識しています。
こういった記述からもお察しのとおり、『聖アントニウスの誘惑』は、エンターテイメントとしての「SF」の枠に収まらないような、哲学的な要素を持つ硬派の小説を企図したものでした。
『メリーゴーランド』は文体の実験を試みた作品で、様々な前衛的な技巧が駆使されていると思います。
おそらく、私がこれまで書いてきた小説の中で、「文体」という点だけに関して言えば、『メリーゴーランド』は現段階での一つの到達点であると考えています。
一方で、私は「書くこと」(エクリチュール)そのものをテーマにすることが現代文学において重要であると感じてきました。
なぜそう考えるのかと言うと、例えばブランショ、ベケット、初期ソレルスのような作家たちが、共通して文学的な「エクリチュール」そのものを更新させるようなテマティックを担っていたからです。
このテーマを最も先鋭化させたのは、最近出版した『今夜もそこに騎士がいる』という長編小説です。


今夜もそこに騎士がいる今夜もそこに騎士がいる
(2015/03/16)
鈴村智久

商品詳細を見る


これはミステリー風の小説で、ボッカチオの『デカメロン』にインスパイアされたものですが、ボルヘス的な「迷宮」や、「メタ小説」の未来、といった点も同時に考えながら書いていました。
ですから、「鈴村智久が考えている前衛的なものとは何か?」という問いに対しては、私はこの二つの作品、つまり『メリーゴーランド』と『今夜もそこに騎士がいる』を読んでもらうことが、返答になると考えております。
最新作である『黒アゲハ』は明確に官能小説にカテゴライズすることはできませんが、「エロス」をテーマにした純文学系の作品集です。
私が面白いと感じたのは、こういう小説が実は売れるということです。
『黒アゲハ』の中で、少女を主人公にした作品は『聖アントニウスの誘惑』よりも更に前(十代後半)に書いたものです。
何人かの方から好意的な感想をいただき、また、私自身にとっても想い出深い作品でもあったので、書籍化するに当たって全面的に改稿しました。
『アニエールの水浴』は、現代を舞台にした純文学の小説です。
私は基本的に身体を動かすのがかなり好きなタイプで、この作品の舞台が休日のジムのプールサイドであるのも、こうした側面の反映です。
スポーツには、カトリックの「祈り」に似た、瞑想的な側面があります。
この小説の主人公である若い女性が、泳いでいる時には精神的な苦しみを全く感じないのも、スポーツのこうしたメンタル面での効用の重要性を私自身が自覚しているためです。
一方で、この小説を書いている期間、私はサルトルの『嘔吐』の読み直し作業をしておりました。
サルトルはこの小説で、人間がなぜ「救い」を「感じなくなったのか」を、極めて私秘的な文体によって濃密に綴っております。
私が『アニエールの水浴』で、主人公とアニエールに共有させているのは、「生きることに明白な意味が果たしてあるのか?」という、根源的な問いでした。
これは、今でも現代社会にとって、そして全ての宗教にとって、最もラディカルで切実なテーマであると考えております。
『アニエールの水浴』は、このような点で、一般的な恋愛小説ではありません。
どちらかというと、ポスト実存主義的な、「メランコリア」をテーマにした物語だと思っています。

さて、これまで売れた小説について作者の「あとがき」に近い形式で、振り返ってきました。
私は現在、『聖アントニウスの誘惑』の方向性を意識した、新しい小説を少しずつ構想しています。
また、『黒アゲハ』のようなエロティックな方向性も、従来の官能小説に収まらないような新奇さを企図して構想しています。
このように、皆様が御購入していただいた本の販売実績から、今後の私の「書くべき小説の方向性」が可視化され始めたように思っています。
これからも、斬新で刺激的な小説世界を作っていくように誠心誠意、努力していきますので、どうぞよろしく御願い致します。


鈴村智久





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