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鈴村智久の研究室

表象文化論、美学の研究者鈴村智久です。哲学・思想ブログランキング総合2位。

「償い」を伴わない者に「赦し」はない――白石和彌『凶悪』

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高齢化社会の暗黒面に切り込んだ力作だが、全篇シリアスで暗澹としている。
全ては「金銭」への飽くなき欲望と、歪んだ破壊的な暴力が結び付いて起きている。
作中の須藤は「生きて償う」ことを方便にして、いわばエゴイスティックに生き長らえようとしている――そこに主人公の正義感が揺さぶりをかける。
また、須藤は牧師の前で「神への赦し」のために祈っているが、これは人間社会の定めた法律によって「償い」を経た上での話だろう。
もしも、凶悪な罪を犯した人間が祈りによって罪そのものを浄化されるのであれば、被害者の気持ちはどうなるのだろうか。
「罪」に対しては、「償い」へと向かわねばならないだろう。
この点を、おそらく最も凶悪な「先生」と「須藤」は、理解していない人物として描かれている気がする。
この作品は確かに「凶悪なるもの」を描いている。
ただ、山田孝之の声が小さくて聞き取り辛かった。

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