† 詩集 †

詩『 蛾の惑い 』







忘れ去られた夕暮れの古城の一隅で密かに咲いている一輪の花
僕は想いをこの花に託そう
明日にでも枯れるかもしれない
少し長生きするかもしれない
だが咲き乱れることはないだろう
全てを失ってまでこの花を守る自信が僕にはない
忘れよう
先は見えている
君を摘み取ればこの城が火焔に包まれることくらい
僕はきっとその火傷に耐えられない
君は蝶を待てばいい
僕は君の蝶ではない
だが君は美しい
君の苦しみは君の美が生みの親だ
僕は退隠しよう
この城から
ここに来るべきではなかった
僕にほんの少しでもその香りを教えてくれたことだけで満足だ
これ以上何もいらない
君のためだ
僕は君の美しさに酔った蛾の一匹に過ぎない
君は蛾ではなく蝶を待てばいい
王族の花にはそれに相応しい恋がある




(2016/2/17)









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