† 美術/アート †

Otto Künzli ―fragmentの概念―

世界のジュエリーアーティスト 上巻―コンテンポラリージュエリー (1)世界のジュエリーアーティスト 上巻―コンテンポラリージュエリー (1)
(2007/03)
水野 孝彦

商品詳細を見る


fragmentsをテーマにしたジュエリーアーティスト

今から紹介するのは、ドイツの極めて卓越したジュエリーアーティスト、オットー・クンツリがシカゴで開催した個展【 Everything goes to pieces 】の中で興味深かった作品である。
まず、「Broken Mickey Mouse」だ。
これは、ミッキーマウスの頭部を斜めに切断/破壊した、その「痕跡」そのものをペンダントにした作品である。
本書にその詳密な写真が角度を分解して収録されている。
クンツリはこれを、あるコンセプトに依拠して制作した。
それは、「fragment(断片)」という概念だ。
フラグメントはどのような状況下で生起するであろうか?

例えば、クンツリはロココ時代、バロック時代、ルネサンス時代、それぞれの「家具」を「破壊」したその「断片」を、ジュエリーアートとして展示する。
これには一体、どのような意図があるのだろうか?
そもそも、「痕跡」や「断片」という概念は、フッサールが名高い衝撃的な『論理学研究』で投げかけた命題のひとつである。
「全体と部分はどのような関係にあるのか?」

クンツリが、少年時代から親しんできた「ミッキーマウス」のフォルムをバラバラに破砕させ、そのフラグメントを、一つの刻印として身体記号化させることで意図するものとは何か?
クンツリが主張していることは、フラグメントには「破壊」という作業が伴う、ということであろうか?
では、「風化」や自然的な「侵蝕」の概念は、クンツリのアートにおいては余白化されているのか?

本書では、クンツリのほか、世界屈指の素晴らしいジュエリーアーティストたちの傑作が収録されている。
どれも刺激的かつ魅惑的である。
ジュエリーアートは、本来的に衣服に付けたりできる「アクセサリー」としても機能する。
これがその他の諸芸術一般よりもファッションに近接した側面であり、実際に海外の若い女性の中にもクンツリの熱狂的なコレクターが存在している。
アクセサリーとは身体記号である。

クンツリには、他にもゴムチューブの指輪と思いきや、はめて時間が経過してくると、破れたチューブの中から「金」が現れる「Gold makes you blind」や、頭蓋骨の「目」「鼻」「口」をそれぞれ異なる大きさの「ハート型」で表現した「Heart」シリーズ(意味はLove can kill you)など、謎めいて愛らしい作品が数多く存在する。

※オットー・クンツリのバイオグラフィ→ 「Künzli」
関連記事
スポンサーサイト
*Edit TB(0) | CO(0)



~ Comment ~















管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


Back      Next