† 美術/アート †

「都市ウサギ」に関する異端的論稿

ゾーヴァの箱舟ゾーヴァの箱舟
(1998/05)
ミヒャエル ゾーヴァ

商品詳細を見る


ミヒャエル・ゾーヴァと動物の生活世界


都市ウサギは実在するのであろうか?
レインコートを被っている少年かと思いきや、顔を振り向かせると、ウサギだった――という現代世界でもおそらく最高峰に位置するこの「大人のための絵本」の画家が描いた命題は――。

私は実際に、ウサギ化している小学生を目にしたことはない。(実在するのであれば友人になりたいが)
ゾーヴァは、おそらく実際に都市ウサギを見ている可能性が高い。

sowa_ melancholy


非常に小さなウサギだ。
スカートをはくこともできるし、ズボンを頭に被りながら、ベッドの片隅からそっとこちらを見つめている。
実に奇妙な、畸形神学的な命題である。
動物は、人間の家畜であるが、その家畜が都市生活を送る、ということは創世記の「洪水」において、「ノア」を捨象する概念である。
実はゾーヴァは、「大洪水」を描いているのだが、(それにしても何とレンブラントの絵画素を引用していることだろう!)やはりそこに義人の姿は見出されない。
人間などは存在しない。

diving pig


はっきりいっておくが、ウサギがただ一匹、都市生活を送っているのではない。
そうではなくて、都市生活者全てが、動物化しているのだ。
新聞配達員はウサギである。
ベルリンを謳歌する泥酔者はクマである。

ニーチェは教養俗物(学識を有しながらも、結局は移ろい行く大衆文化に汚染されてしまう種族)を一語で一蹴した。
「畜群」と。
ゾーヴァが仮にニーチェの批判をアイロニーとして踏襲しているのであれば、人間を動物化するという発想は極端で暴力的ですらある。

huh.gif


だが、見てのとおり、ゾーヴァは批判対象として動物的な現代人を描いているわけではない。
おそらく、その逆だ。
むしろ、動物のように「のんびりと楽園的に」という少年的な夢想が内在している。
関連記事
スポンサーサイト
*Edit TB(-) | CO(-) 



Back      Next