† 美術/アート †

ジョサイア・ウェッジウッドの芸術

The Prestige ウェッジウッドの芸術The Prestige ウェッジウッドの芸術
(2004/06/23)
講談社

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WEDGWOOD

ウェッジウッドは、18世紀を代表する英国最高峰の陶芸家。
私は絵画と並んで、ガラス美術やステンドグラス、陶器にも前から強い関心があったのだが、ウェッジウッド社の一連の作品を収録したこの美しいカタログとは初めて出会った。

ウェッジウッドは、ややもすれば単なる「食器」に成り下がってしまうこの分野を、芸術にまで昇華させたという点で後世に不朽の名を残したと評価されている。
実際、私も開いて驚愕した。
安直なイメージかもしれないが、彫られているそれぞれの像の精緻さは、ロダンのそれに匹敵している。

そもそも、陶器を見ていて「和む」のは何故なのだろうか?
陶器を芸術にまで高めるということは、「食事」の芸術化をも意味している。
洗練された作法、優美で品格のあるスタイル、そうした超一流の感性がこの天才的な作品集から全編を通して伝わってくる。
ヨーロッパの陶器に関心のある読者には必見だといって良いと思う。

ウェッジウッドは、若い頃に父を失って学校に通えなくなってしまった。
そこで、兄と共に陶工だった父の仕事を受け継ぐ。
1759年、彼が29歳の頃、仲間と共にウェッジウッド社を設立する。
2009年、つまり来年がちょうど創業250周年である。
おそらく日本でも幾つかのイベントが開催されると思われるので、今年の内にこの素晴らしい芸術について深めておいても良いだろう。

ウェッジウッドは、陶器の「スタイル」という点で突出して魅惑的である。
色彩としては、「ブラックバサルト(品格のある黒色)」や「ペールブルー(優しい水色)」などを基調とした作品が多く見られる。

「ジャスパー ペールブルー」

「ジャスパー ペールブルー」


例えば、本書で掲載されている「コーヒーカップ」一つ取り上げても、非常に「穏やか」で且つ「品格」を感じさせるものだ。
陶器が本質的に持っている「土の優しさ、安心感」のようなものに、優美さと静謐なしっとり感を与える技術には眼を見張るものがある。

「ジャスパー ロマンティックブルー」

「ジャスパー ロマンティックブルー」


カメオの場合、ウェッジウッドの技術力がよく解ると思う。
カメオというのは、あの聖母子像やギリシア神話などを題材にして、貝殻などに彫り込んだ美しく小さな装飾品だ。
ウェッジウッドもどうやらカメオを幾つか制作されたようで、それが少しだが掲載されている。
私が以前読んだカメオの本でも、相当な技術力を感じさせるものが多かったが、正直これには匹敵しないと思う。
本当に女性の衣服の繊細な「折り目」までもが、柔らかくリアルに彫り込まれているのだ。
このような質感を、全てウェッジウッド社の陶工たちが仕上げているのかと思うと、愕くべきものがある。
プレゼントとして大切な人に贈りたいような気さえする作品だが、これらは現在ウェッジウッドミュージアムに展示されているという話だ。

しかし、いずれにせよペールブルー&ホワイトの組み合わせの麗しさは、どれだけ讃歌されてもされ過ぎることはないだろう。
ウェッジウッド社のロゴマークは、「WEDGWOOD」から「W」を取り出し、この下側の山の間に、代表作の一つである「ポートランドベース」という壷の形をスタイリッシュに表現したもので、記憶しておこうと思う。
というのは、これほどの作品だと、おそらく亜流や贋作が大量に存在するはずであり、それらと本物の「差異」を見極めるのが、おそらくこの特徴的なロゴマークであろうからだ。

陶器の中で、最も私が好きになった作品群だった。
そして、この本の装丁それ自体が、ウェッジウッド社の品格の高さを表現している。

※ 「WEDGWOOD社 公式サイト
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