† 美術/アート †

Umberto Eco 『ON UGLINESS』

On UglinessOn Ugliness
(2007/10/30)
不明

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これはウンベルト・エーコの美術書なのですが、かなり物凄い本です。
「ugliness」、つまり「醜悪さ」「醜さ」をテーマにした絵画を集成しています。
本の表紙絵から既に判ると思うのですが、中にはキリスト教にとっての「闇」を描いた作品も多数収録されています。
悪魔であったり、人間の畸形的な姿、或いは殉教、拷問をテーマにした絵画たち・・・・・・。

目を背けたくなるほどの、かなり衝撃的な、あまり声をあげてひとに説明できないような絵画たちの一大集成といえるでしょう。
開くためにはそれなりの勇敢さが必要ですが、私が一番印象的だったのは、
クラナッハの《The Fountain of Youth》(1546)でした。

The  Fountain  of  Youth

クラナッハの絵のタッチは、判りやすくいうと、レゴ人形に似ていて、どこか愛らしいのです。
それはボスやブリューゲルにも通じる、小さなマスコット/人形的な可愛らしさです。
この絵は「老い」をuglinessとして扱っているのですが、私は老いることは美徳の一つだと考えています。
ですから、クラナッハがこの絵で、女性たちを「若さ」として美しく描き、「老い」を悲嘆的に描いていることには、否定的にならざるをえません。
女性は老いれば老いるほど、気高く美しくなるものです。

The  Fountain of Youth   (detail)

老いたる人々は「若返りの泉」で水浴びすることで、このように魔術的な若々しさを手に入れています。

The Fountain of  Youth  (detail)

泉までの道のりは、どこか切なげです。
明らかに、「老い」をエーコは「ugliness」として位置づけ、そしてまたクラナッハもそのように描いてしまっているのです。

The   Fountain    of   Youth  (detail)

若返った人間たちのすることといえば、何でしょうか?
それはいつの時代でも同じ、そう、愛欲に愛欲を重ねる日々です。
若さというのは、それだけで一つの官能性でもあるのでしょう。
クラナッハの描写は、その魔術性を描き出すことに成功しています。

けれど、私は「老い」は美徳だとやはり主張したいのです。
そういう尊敬すべき人々が、私の属すカトリック教会には沢山いらっしゃるからです。
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