† 美術/アート †

ゴットフリート・ヘルンヴァインの「美しい傷口」について

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ヘルンヴァインの作品に最近注目している。
彼の作品群を見ていて感じるのは、傷だ。
非常に傷付き易い少年や少女がモデルになっていて、彼らは自殺寸前だったり自殺した直後であったりする。
だがそこには不思議な美が伴っていて、洗練されている。


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私はこの作品が最も解釈を要すると考える。
この幼女は、よく見ると左顔半分に相当な傷を負っているのが判るであろう。
おそらく顔半分が麻痺しているだけでなく、両手の指も切断されている。
無造作にリビングの片隅に置かれている生きた幼女。
ここには衝撃があり、同時に何か「タブー」の気配を感じる。
ヘルンヴァインの作品で、最も印象的なのはこうした「衝撃」を発しているものだ。
これは新しいタイプの魅せ方だと思う。
例えばグリューネヴァルトのイーゼンハイム祭壇画では、磔刑のキリストのグロテスクな身体が克明に描かれており、当時の人々を震撼させた。
ヘルンヴァインの「痛み」は、見て「今、痛い! 」ではなく、「かつて物凄く痛かった! 」という「痕跡」をテーマにしているような気がするのだ。
傷口、傷付き易さ、治癒、痕跡……これらはいずれも少年少女の真っ白で新鮮な「表皮」の上で生起する。
少年少女の表皮、皮膚は無垢さの象徴であり、それを侵犯しようとする芸術家は、いうなれば瀆神的でもある。


傷は美になりうることを彼が証明した。
傷口、目をそむけるような深い「痛み」の痕跡は、美である。
そして、これは実は「タブー」に接近している。

ただ、もしも芸術家が原子爆弾で傷付いた人々の背中を見ていたとすれば、それを描けたろうか?
皮肉にも、彼は大衆文化の象徴たるディズニー映画のキャラクターを他の作品の中で何度も描いている。
何か、ポップカルチャー的な「白痴」というか、視覚上の美やインパクトに特化したファッション的な要素も孕んでいる。
私は嫌いではないが、確かにファッション的なテーマの「薄さ」を感じるのも事実だ。


痛み、傷はファッションである。
包帯を巻いた美少年、眼帯をした美少女、全ては「モード」であり、「スタイル」であり、「美的な傷口」である。
そして、それは実は真の傷口を隠蔽するだけのものでしかない。
可視的な傷口よりも、不可視の傷口がひとを死に至らしめることの方が多いからだ。
ヘルンヴァインは魂の傷口を描いたのだろうか?








Gottfried Helnwein

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ゴットフリート・ヘルンヴァイン(Gottfried Helnwein、1948年10月8日、ウィーン生まれ)は、オーストリア系アイルランド人の画家、写真家、兼パフォーマンスアーティスト。

ヘルンヴァインはウィーン美術アカデミー絵画科(Akademie der Bildenden Künste, Wien)で学ぶ。同大学にてマスタースクール賞(Meisterschulpreis)、後にカーディナル(枢機卿)ケーニヒ(王)賞、 テオドル・ケルナー賞を受賞。

彼の初期の作品は主として傷ついた子供達を描いた超リアリスティックな水彩画、同時に彼は公共の場で実際に子供達を交えてそういったパフォーマンスを披露することも度々あった。ヘルンバインは概念的なアーティストであり、主として心理学的、社会学的な不安感や、歴史的問題、政治的話題を取り上げてきた。結果として彼の作品はしばしば挑発的と受けとめられ、物議をかもしてきた。彼は様々な手法と媒体を用い、画家、デッサン家、写真家、壁画家、彫刻家、そしてパフォーマンスアーティストとして作品を残してきた。ヘルンバインはまた、劇場、バレイ、オペラといった、舞台製作や衣装デザインでも知られている。その中にはハンブルク国立歌劇場、ベルリン・フォルクスビューン劇場やロサンゼルスオペラ座等がある。


年譜

1985 ウィーン、アルベルティナ宮で個展を開く。
ドイツ及びオーストリアの国営テレビ局がプロデュースしたテレビ映画『ヘルンヴァイン』はベストテレビジョンドキュメンタリーとしてアドルフ・グリム賞を受賞した他、エドゥアード・ライン賞、ウィーン市の "金の幹部" 賞も得る。

1988 『水晶の夜 (Kristallnacht)』:ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の始まりから50年を記念してルートヴィヒ美術館からケルン大聖堂間の100メートルに渡ってケルンの街の中心部にインスタレィションを掲げる。それ以来、公共の場での巨大インスタレィションは彼の作品の中で重要な位置を占めるようになる。
1997 アイルランド に移住。
同年、ロシア・サンクトペテルブルクの国立ロシア美術館はヘルンバインの回顧展を組織し、彼についての論文を発表。

2000 サンフランシスコ近代美術館、ロサンゼルス群立美術館、及びアメリカ国内様々な美術館においてヘルンヴァインの作品を展示。
2001 ハンブルク国立歌劇場においてイーゴリ・ストラヴィンスキー 作の『放蕩者の成行き (Rake's Progress)』の舞台美術と衣装デザインを担当。
2002 ロサンゼルス にスタジオを開設。
マリリン・マンソン との共同製作によるマルチメディア・プロジェクト『ゴールデンエイジ・オブ・グロテスク』、そしてショーン・ペンとのビデオ、映画プロジェクトを実施。

2004 サンフランシスコ・ファインアート美術館群の中のカリフォルニア・パレス・オブ・ザ・レジョン・オブ・オナーに置いて『ザ・チャイルド』の個展を開催。
2005 ロサンゼルスオペラ座においてリヒャルト・シュトラウス のオペラ『ばらの騎士(Der Rosenkavalier)』をマクシミリアン・シェルと共同製作。
ドイツのオーバーハウゼン宮ルートヴィヒ美術館、ハノーバー・ウィルヘルム・ブッシュ美術館において『美しき子供達』の個展を開催。

アイルランド市民権を取得。

ゴットフリート・ヘルンバインは現在、アイルランドとロサンゼルスの両方を拠点として芸術家活動を続けている。

引用

「ヘルンヴァインは今日の数少ない衝撃的な画家のひとりである。」
ノーマン・メイラー


「観る者に驚愕の認識を呼び起こさせることがこのアーティストの使命である。観る者が既に知っている事、それなのに本人にはその自覚のない事柄を改めて分らせるのだ。ヘルンヴァインは驚愕の認識の達人である。」
ウィリアム・バロウズ


「この世界は一つのお化け屋敷なんだ。そしてヘルンヴァインは僕らの時代のその道先案内人なんだよ。彼の作品の中で彼は悲しみ、皮肉、醜さ、そして美しさをそのまま受けとめているんだ。でも彼の全ての作品がキャンバス上のものであるわけじゃない。それらの作品はまさに彼の生きざまそのものなんだ。彼のことを個人的に知らなくてもそれは充分わかることだよ。彼の絵を一瞥しただけで『こいつは昨日今日出てきた奴じゃない。』と言ってしまうよ。クローゼットの中に座ったままではこんな作品は描けはしない。彼の作品レベルは『体得した』ものなんだ。」
ショーン・ペン




主な出版物

HELNWEIN ヘルンバイン写真集/自画像 1989 発行所:(株) リブロポート、東京 構成・文:伊藤俊治 写真:ゴットフリート・ヘルンヴァイン 発行日:1989年10月30日初版第1刷 写真:ゴットフリート・ヘルンヴァイン


ザ・チャイルド/ ゴットフリート・ヘルンヴァイン サンフランシスコ・ファインアート美術館 個展 2004 ロバート・フリン・ジョンソン、ハリー・S・パーカー (ISBN 0-88401-112-7)




外部リンク

- オフィシャル日本語サイト
- www.helnwein-museum.com
- ヘルンヴァインと漫画文化
- www.helnwein.org
プレス
- www.artisthelnwein.com
http://www.helnwein-photography.com



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