† 文学 †

狂っている人間はどこにでもいるが、狂い、かつ、知的な人間は数少ない

今、一番日本で活躍している作家の中で誰が好きか、誰を尊敬しているか、ときかれて彼以外の人物を答えることはないと思うほど、私は大江健三郎を敬愛している。
彼の作品を初めて読んだのは中学時代の「飼育」だったが、その時の文体の異常さと、伝わるイメージの圧倒的かつ濃密なリアリティーは現今の若手が到底簡単に模倣できるものではないだろう。
十代後半から私も小説を書く、という行為をしてきたけれど、色々な挫折を伴う苦しい孤独の局面で、常に背後から私に書くように薦めてくれていたのは、大江健三郎の本の存在感だった。

最近も、私は図書館で『美しいアナベル・リイ』を借りて読んでいたけれど、その前衛的な方法論と、一貫して「読む行為」を「書く行為」と一体化させる手法は、作家としての確固たる力を感じさせる。
大江健三郎が持つ独特な「狂気」と、それに伴う「癒し」や「ナルシシズム」も含めて、私は彼から「書くことは、己を癒すことである」という定式を再確認する。
娯楽ではなく、小説が、書き手の魂にも開かれているということを世界に向けて証明した数少ない稀有な才能の一人だ。



関連記事
スポンサーサイト
*Edit TB(0) | CO(0)



~ Comment ~















管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


Back      Next