† 映画 †

ポール・トーマス・アンダーソン『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド [DVD]ゼア・ウィル・ビー・ブラッド [DVD]
(2008/08/20)
ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ 他

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石油王を目指す主人公の男は、この世界の根本原理を「資本」であると考えています。
一方、彼が買収した土地で暮らしていた青年は、「信仰」こそが世界の根本的な原理であると確信しています。
この青年のキャラクター性は、これまで観てきた映画作品にはなかなか見られない造形で、私には斬新でした。
彼は石油王に見られるような唯物論的な発想を持っていつつ、彼との交渉によって自分のための新しい教会を設立します。
金で解決できない問題として、信仰というテーマがここで用意される。
しかし、結局この青年は伝道活動に失敗し、「資本」という神に懇願することになります。
石油王に欠損しているものとしての、慎ましい信仰心。
他方で、若き青年司祭に欠損しているものとしての、貪欲な金銭欲。
これら二つの壮絶な闘い、としても本作はこの上なく重要なテーマ性を孕んでいます。

監督の伝えたいことは、おそらく人間存在には、そのどちらもが必要だということではないでしょうか。
より正確にいえば、「バランス」です。
社会学者ニクラス・ルーマンがいみじくも述べていたように、「教会は、信仰が成就しない場合、金で今度は解決してみる、という方策を用意しない」。
同様に、金以外にもこの世には生きるべき価値体系がある、という点でこの映画では「信仰」が登場してくるわけです。
私が感じたのは、「金」も「信仰」も、同じほど大切だということです。
どちらかに傾斜すると、どこかに違和が生じます。

そういうわけで、私はこの作品から、「生きる」上でのひとつのヒントを教えられたのでした。
素晴らしい名作だと思います。

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